鼎(ゲイ)のライフスタイルに関するコラム

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オネハの女王 デボラ・コックス

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今の若い子はあまり知らないかもしれないけれど、デボラ・コックスというシンガーがいる。

カナダはトロント出身で、天性の才能を持った彼女は12才の頃からテレビCMのテーマソングを歌い始め、ナイトクラブなどでも歌を披露するなどしてきた。
同じくカナダ人シンガー、セリーヌ・ディオンのバックコーラスを担当し、カナダのレコード会社からラブコールがかかりはじめるも、デボラは更なる可能性を求めてロサンゼルスに移住する。

そして当時ホイットニー・ヒューストンなどの人気シンガーを世に送り出したことで知られるアリスタレコードのクライヴ・デイヴィスが彼女の才能に惚れこんで契約。「ポスト・ホイットニー」というふれこみで1995年にデビューとなった。

1stアルバムの『デボラ・コックス』は制作陣にダラス・オースティン、キース・クラウチ、ベビーフェイス、ダイアン・ウォーレンなどを迎えた力作となった。しかし結果としてはR&Bチャートで25位止まりとなってしまう。

暗雲立ち込めるかと思いきや、1stシングルの「Sentimental」が4位というスマッシュヒットとなり、そして2ndシングル「Who Do U Love」に至ってはデイヴィッド・モラレスが手掛けたハウスミックスのおかげでダンスチャートで1位に輝いた。このハウスミックスの成功が彼女のキャリアに大きく影響する。

https://youtu.be/4c8FYP5kL74

続いて1997年に映画「Money Talks」のサントラに「Things Just Ain't the Same」で参加。The Stylisticsの「You are everything」を大胆にサンプリング。

https://youtu.be/FJRUcWbXHk0

そしてミックスに当時勢いのあったハウスリミキサー、ヘックス・ヘクターを起用。こちらもダンスチャートで1位に輝いた。

ホイットニーを彷彿とさせる重くて太い、しかし伸びのある歌声にダンダンダンというハウスの早いリズムがとてもマッチする。しかし、原曲のメロディや歌声はまったく崩さない。
このディーバ系シンガーの歌モノハウスのスタイルはオネエハウスと呼ばれるようになり、ゲイから圧倒的な支持を集めた。

そして満を持して1998年に2ndアルバム『One Wish』をリリース。
1stシングルとしてカットされた「Nobody's Supposed to Be Here」。こちらはアンソニー・"シェップ"・クロフォードが手掛けた半音上がり系のミディアムスローでR&Bチャートでも14週連続という大ヒットになった。

https://youtu.be/H947PtHmh0Y

そしてお決まりのハウスミックスでもヘックス・へクターを起用。ミディアムスローだった原曲が痛快なアップテンポに生まれ変わり、当時のゲイシーンでも本当にもてはやされた。

Stevie JやKayGee、Rodney Jerkinsなどヒットメーカーを迎えた「One Wish」も良作だったが、R&Bチャートでも14位と結果はイマイチ。また、この頃から、オリジナルバージョンはヒットせずにハウスミックスだけがヒットするというシングル曲もちらほら見られるようになってしまう。R&Bシンガーというよりもハウスシンガーだ。

再起をかけて2002年に3rdアルバム『The Morning After』をクライヴ・デイヴィスが新設したJレコードよりリリース。ここでR&Bチャートで7位に輝くという快挙をやっと成し遂げた。
しかし、ジャム&ルイスが手がてた「Up & Down (In & Out)"」はヒットせずに、「Mr.Lonely」「play your part」などのハウスアンセムだけが相変わらずダンスチャートで1位を獲得していた。

2003年にはハウスミックスを集めた企画盤『Rmixed』を発売。既発曲ばかりを集めながらもDance/Electronic Albums部門で4位を獲得。既に「オネハの女王」という称号がふさわしい存在となっていた。

https://itunes.apple.com/jp/album/remixed/id255948276

デボラも色々と思うところがあったのか、その後クライヴ・デイヴィスの元を去ってしまう。
そしてJazzの名門レーベルであるDeccaから2007年にダイナ・ワシントンへのトリビュートアルバム『Destination Moon』を発売。本来デボラが誇る力強い声と歌唱力が往年の名曲によって活かされたこの作品はJazzチャートの3位を獲得した。

シンガーとしての想いを叶えたデボラは2008年には早々とR&Bシンガーとしてもカムバック。しかし自主レーベルを自ら立ち上げて4thアルバム『The Promise』を発売した。
ジャム&ルイスやアンソニー”シェップ”クロフォードなどの制作陣で固めたこのアルバムは、インディながらもR&Bチャートで14位と大健闘。
そしてもちろんハウスシーンへのアプローチも忘れず、「Beautiful U R」というシングルでダンスチャート1位を獲得した。

その後、アルバムを出す話もあったが、なかなかリリースには至ってない。
しかし思いついたかのようにシングルをリリースしてはダンスチャートで1位を獲得している。
サウンドクラウドにも新曲をコンスタントにアップロードしている。

また、2015年にはホイットニー・ヒューストンの人生を描いたTV映画「Whitney」において、ヤヤ・ダコスタが演じるホイットニーの歌声を担当した。自らの歌い方を抑えながらホイットニーの代表作をホイットニーのように歌いこなしたその出来に称賛が集まった。

そして2016年にはシドニー最大のLGBTイベント「ゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ」に出演し、「Nobody's Supposed to Be Here」「Absolutely Not」などのハウスアンセムを披露した。
ゲイに愛されてきた「オネハの女王」はその健在っぷりをアピールした。

ゲイに踊る悦びを与え、そしてゲイに支えられてきたオネハの女王・デボラコックスはまだまだ、42歳と若い。
これからもその活躍に期待したいと思う。


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