鼎(ゲイ)のライフスタイルに関するコラム

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宇多田ヒカルとLGBT

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宇多田ヒカルの「光(RayOfHopeMIX)」がアメリカでのitunesチャートで2位というニュースが駆け巡った。

あたし的には、「iTunesチャートかぁ、ビルボードチャートだったら面白いんだけとなぁ」と思わないでもなかったが、やはり世間では話題にはなった。
このミックスを手がけたのはPUNPEEというHIP HOP業界ではかなり有名なラッパーだ。

PUNPEE自体も加山雄三を取り上げた「お嫁においで 2015」をリリースしたり、STUTSの大出世作「夜を使い果たして」に参加したりとラッパーとしても大活躍している。
あたしも「MOVIE ON THE SUNDAY」というミックステープは何度も繰り返して聴いている。
その他、般若などのラッパーにも曲を提供したり、G.RINAのリミックスを手がけたりと様々な形で活躍している。
今一番ノリにノッているラッパーだろう。

そしてこのPUNPEE、昨年二丁目で開催された「宇多田ナイト」にDJとしても出演している。
宇多田ナイトはその名の通り、一晩中宇多田の曲を流して楽しむイベントだ。ドラァグクイーン達がおかっぱ頭のウィッグで宇多田になりきって盛り上げる。
しかも、ドラァグクイーンが宇多田に扮する写真がイベントPR用にツイートで公開されたが、宇多田ヒカル本人が引用リツイートで触れたこともあり、かなり注目を集めたイベントだった。

実はそのシークレットゲストとしてdjをしたのがPUNPEEだった。それはPUNPEEが過去にドミューンの企画で宇多田のミックスを配信した実績を買われての出演だった。

残念ながら二丁目界隈ではPUNPEEの名はあまり知られておらず、「へぇ~よく知らないけど、なんかすごい人なんだ~」という空気が観客の中でも流れたが、そこはやはりPUNPEE。DJとして圧倒的なプレイを見せ付け、フロアを大いに沸かせたという。
宇多田サイドの公式スタッフも協力的で、ドラァグクイーンに囲まれてタジタジになっているPUNPEEの様子を捉えた写真をツイートしている。

今回の宇多田の光のヒットで改めてPUNPEEのことを知り「あ~!この人だったのか!」と合点が行った観客も多いだろう。

PUNPEEのLGBTフレンドリーな側面が見え、HIP HOPリスナーとしては嬉しい喜びを覚えたが、LGBTフレンドリーなのはPUNPEEだけではない。
そもそも、宇多田ヒカルは昨年世間を騒がせた復帰作「Fantome」の収録曲で同性愛者の歌をうたっている。
NHKの音楽番組「SONGS」でも明言していたのでわりと有名な話ではあるが、アルバムに収録された「ともだち」は、同性愛者が異性愛者を想う悲しい恋の歌だ。

君が手に入らないのなら、いっそ友達になんてなりたくない。

同性愛者特有の、異性愛者に恋心を覚えた時の圧倒的な絶望感、そしてその純粋な恋心を宇多田が繊細に表現している。ポップで柔らかいけど、どこか物悲しさがあるメロディー。ゲストシンガーとして参加しているのは水曜日のカンパネラの「ナポレオン」を手がけたことで知られている小袋成彬。
以前から「ぼく」という一人称を用いていた宇多田だが、彼のハイトーンボイスが宇多田の声に重なることで曲の中性性が更に増す。

異性愛者に恋をしても想いが叶う可能性は1ミリもない。ならば想いを伝える気もない。それでも僕は君が好きなんだ。

この楽曲に共感し、思わず涙したのはあたしだけではないだろう。実際にSNSを中心にLGBTコミュニティーの中でもこの曲は話題になった。「ともだち」は同性愛者の片想いの切ない歌だが、この曲を宇多田が歌ってくれたということで心が温かくなる。

そして先日、「ファントム」から「忘却」という曲が新たにシングルカットされた。この曲ではKOHHというラッパーが参加しているが、KOHHもPUNPEEと同様にHIP HOPシーンの最前線で活躍する素晴らしいラッパーである。
自身の名義で「飛行機」などの名曲を生み出し、そしてDJ SOULJAHの「aaight」にMARIAと共に参加するなど精力的に活躍している。

このKOHHはフランク・オーシャンというアメリカの人気R&Bシンガーの作品に参加して話題になったことがある。そして、そのフランク・オーシャンもHIP HOP業界に身を置きながらも自身がゲイである事をカミングアウトした素晴らしいシンガーだ(厳密には「初めての恋人は男性だった」と発言しているのでバイの可能性もある)。

KOHHはその辺りのことについて触れてはいないのでこれはあたしの推測でしかないが、ゲイフォビアだったらフランク・オーシャンの作品に参加はしないだろう(フランク・オーシャンと共演しながらLGBTヘイト発言をしたキム・バレルの例もあるので「絶対にフレンドリー」とは断定できないが)。

宇多田とPUNPEE、そしてKOHH。この共演は単なる偶然かもしれないが、LGBTフレンドリーなアーティストが共演したのはとても嬉しい。

音楽不況と言われるこの時代に80万枚を売り上げた宇多田の「ファントム」。
子供を産んで大人となった宇多田の新しい世界感に触れることができる素晴らしいアルバムだった。
「ともだち」「忘却」をまだ聴いたことがない方はぜひ聴いてみて欲しい。

宇多田ヒカルオフィシャルサイト
http://www.utadahikaru.jp/


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