鼎(ゲイ)のライフスタイルに関するコラム

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ゲイシンガー『ジョージ・マイケル』の壮絶な人生と彼が残した偉大な功績

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もう2月だというのにジョージ・マイケルを亡くした悲しみを未だに引きずっている。
若い世代にはジョージ・マイケルなんてあまり馴染みがないと思う。「ジョージ・マイケル?ああ、ラストクリスマスの人ね。」大抵そんな反応をするだろう。実際に12月を過ぎると街やメディアではワム!のラストクリスマスがひっきりなしに流れる。去年もそうだった。ただ、ジョージの魅力はラストクリスマスだけではない。

ギリシャ系イギリス人のジョージはワム!というデュオのメンバーとして1982年にイギリスでデビューし、瞬く間にスーパースターへと成り上がった。183cmという恵まれたスタイルの良さ、彫刻のように美しいマスク、そして自ら染め上げたブロンドの髪。アイドルとして沢山の世の女性を魅了した。
ワム!の魅力は外見だけでない。ジョージはソングライターとしても類いまれなる才能を発揮した。「ラストクリスマス」だけでなく、当時発表された「freedom」「ウキウキウェイクミーアップ」「Everything She Wants」は世界中で売れに売れた。もちろん、日本も例外ではなく、日本のカセットテープのテレビコマーシャルにワム!が抜擢される程であった。

ワム!在籍中にソロ曲として発表した「ケアレスウィスパー」も売れた。歌謡曲に通じるもの哀しさがある「ケアレスウィスパー」は日本でも人気を呼び、西城秀樹、郷ひろみがカバーするほどであった。今でも他にも様々な歌手にカバーされる名曲である。

George Michael / Careless Whisper
https://youtu.be/izGwDsrQ1eQ

これによってソロでもやっていけると確信したジョージはワム!を解散し、遂に1987年に1stアルバム「faith」を発表。ポップながらもソウル・ミュージックへの造詣が深かったこのアルバムはイギリスはもちろんのこと、アメリカでも売れに売れた。
また、シングルカットした7曲のうち、4曲がビルボートチャートで1位を獲得した。ジョージは24歳という若さにしてまさに世界一のスーパースターという地位と名誉を手にしたのである。

▼George Michael / Faith
https://youtu.be/6Cs3Pvmmv0E

しかし、この成功は長く続かなかった。1990年に発表した2ndアルバム「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1」Praying for Timeというシングルヒットを生み出し、ビルボードチャートで2位を記録するもアルバムとしてのアメリカでの売上は1stを下回ってしまった。所属していたソニーミュージックのプロモーション不足を感じたジョージは不信感を露わにし、契約無効を訴える裁判を起こした。これが長引いて3rdアルバムの発売まで6年間の期間を要することになってしまい、それが人気下落の一因になってしまう。

長い裁判を経てやっと3rdアルバム「オールダー」が出た時にはジョージは33歳。これまでのアイドル路線からの脱却を図るためなのか、よりR&B色の強いアルバムとなった。
また、人気のボサノバ曲「イパネマの娘」を制作したアントニオ・カルロス・ジョビンの影響も色濃く受けたと本人も語っている。「オールダー」は全世界で1,500万枚売り上げ成功したと言えるが、肝心のアメリカでは6位止まり。かつてのスーパースターとしての勢いが感じられなくなった代わりに、アーティスト色を強める形となった。個人的にはシングル曲「Fastlove」は今聴いても名曲だと思う。

George Michael / Fastlove
https://youtu.be/SHAQlFq6TFg

そしてあの事件が起きてしまう。
1998年、ビバリーヒルズのゲイが集まると言われる公園で、局部を露出しながら自慰に耽っていたとしてジョージが逮捕されてしまうのだ。かなりセンセーショナルな話題となり、次々とゴシップ記事が書き立てられた。

しかし、ジョージはこれにめげることがなく、彼がゲイであることを公式にカミングアウト。おまけに「おとり捜査官が先に局部を露出してきたんだよ」とTVで煽り、同じく1998年に発表されたベストアルバムからの1stシングル「Outside」のMVでこの事件をパロディ。ジョージが警察官の格好して歌いながら踊っている(後に相手の警察官に名誉棄損で訴えられることにもなってしまった)。

しかしジョージのカミングアウトは多くのゲイに勇気を与えたゲイで何か悪い?と言わんばかりの毅然とした態度で歌を歌い続ける。現在、サム・スミスアダム・ランバートリッキー・マーティンなど、LGBTであることをカミングアウトしているアーティストは多くいるが、ジョージのカミングアウトの影響を多かれ少なかれ受けているだろう。

またジョージのカミングアウトは決して人気下落へとは繋がらなかった。上記のベストアルバムは1500万枚以上を売り上げた。メアリー・J・ブライジとデュエットでカバーしたスティービーワンダーの「As」もベストアルバムに収録されており、イギリスや日本でもシングル曲としてスマッシュヒットをさせた。

George Michael & Mary J. Blige / As
https://youtu.be/3V726_HShyY

更に2000年にホイットニー・ヒューストンが発表したベストアルバムではホイットニーとヒットメーカー:ロドニー・ジャーキンスが組んだ名曲「If I Told You That」でデュエット相手として新たに抜擢され、シングル曲としてUKでヒットとなった。

Whitney Houston ft George Michael / If I Told You That
https://youtu.be/7EjfbyCpAxA

カミングアウトを済ませて本来の自分を表現できるようになったジョージだが、2004年に4thアルバム「Patience」を発表する。リアーナやカイリー・ミノーグなどにトラックを提供するイギリス人プロデューサーのJohnny Douglasとの共同作業が多いこのアルバムは、アメリカでは最高12位と結果になってしまったが、イギリスでは初登場1位と根強い人気を見せつけた。亡き母や亡き恋人について歌ったドラマティックな楽曲が多く、「Patience」は名盤としてファンからも評価されている。

George Michael / An Easier Affair
https://youtu.be/itzpiIzpV-g

George Michael / Amazing
https://youtu.be/6YziZ1FlAWs

また、2014年にはライブアルバム「Symphonica」を発表。オーケストラ編成で過去の名曲をアレンジし、ジョージの歌唱力がたっぷり味わえる作品となっている。また新曲「Let Her Down Easy」も披露され、ファンにジョージの健在っぷりを見せつけた。しかしこれが奇しくも遺作となってしまう。

George Michael / Let Her Down Easy
https://youtu.be/58hMog3XuuY

順調そうに見えたジョージの音楽活動だが、その一方で私生活は荒れていた。2008年にはドラッグの所持で逮捕されており、他にもマリファナの過剰吸引でリハビリ治療を受けるなど壮絶な人生を送っていた。
また、健康状態も良いとは言えず、2011年には肺炎で入院。近年は激太りに悩まされていたと報じられた。

しかし派手そうに見える恋愛関係は2009年には男性と付き合い、その方とは6年という長い間パートナー関係にあった。2015年には破局して同棲も解消となったが、彼はその後もジョージのソウルメイトとしてジョージを支え続けていたという。

そして昨年のクリスマスに53才という若さながらも、心不全でジョージはこの世から去ってしてまった。マドンナやエルトン・ジョンなど生前に親交があったアーティスト達も追悼の意を表していた。
多くのファンはもちろん、アーティスト達からも愛されたシンガー、ジョージ・マイケル。彼の才能と努力は音楽と言う形で非常に多くの人々に希望を与え続けた。そしてゲイであることを隠さず、胸を張って生きる姿は私たちのようにセクシャルマイノリティーに属する人々にも勇気をくれた。
彼の素直な生き方。そして彼の残した音楽。その偉大な功績は今後も語り継がれていくことだろう。


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